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金銭消費貸借契約書の書き方|個人間でも使える必須項目とテンプレート

「知人にまとまったお金を貸すことになった」「親族から事業の運転資金を借りるので、きちんとした契約書を交わしたい」――そんなとき登場するのが金銭消費貸借契約書(きんせんしょうひたいしゃくけいやくしょ)です。
名前はいかめしいですが、中身は「いくら貸して、いつ・どうやって返すか」を双方で確認するための書面。
ポイントさえ押さえれば、個人間でも十分に作れます。

この記事では、金銭消費貸借契約書に入れるべき条項、利息と遅延損害金の上限、収入印紙の金額、公正証書にする目安までを、順を追ってやさしく解説します。


金銭消費貸借契約書とは?借用書との違い

金銭消費貸借契約書は、お金の貸し借りの条件を貸主と借主の双方が署名押印して取り交わし、1通ずつ保管する契約書です。
借主だけがサインして貸主に差し入れる「借用書」に比べて、双方が同じ条件を確認した証拠が両者の手元に残るため、金額が大きいときや事業性のある貸付ではこちらが選ばれます。

種類 署名 保管 向いている場面
借用書 借主のみ 貸主が1通保管 家族・友人間の少額の貸し借り
金銭消費貸借契約書 貸主・借主の双方 双方が1通ずつ 高額な貸付、長期の分割返済、事業性の取引

どちらを選ぶべきか迷う方は、借用書と金銭消費貸借契約書の違いで詳しく比較しているので、あわせてご覧ください。

ちなみに民法では、消費貸借は「お金を受け取ることによって効力を生ずる」契約とされています(民法587条)。
ただし2020年施行の改正民法で、書面(電子データを含む)で合意すれば、お金を渡す前でも契約が成立する「書面でする消費貸借」が明文化されました(民法587条の2)。
「来月貸すと約束したのに直前で断られた」といった場面でも、書面があれば約束の裏づけになる――契約書を作る意味は、以前より大きくなっています。


必ず入れたい8つの条項

金銭消費貸借契約書に決まった様式はありませんが、次の8つを押さえておけば、実務で必要な骨組みはほぼ揃います。

1. 契約当事者(貸主・借主)

冒頭に「貸主〇〇(以下「甲」という)と借主〇〇(以下「乙」という)は、以下のとおり金銭消費貸借契約を締結する」と書きます。
氏名は住所とセットで特定しましょう。

2. 貸付金額(元本)と交付の事実

「甲は乙に対し、金壱百萬円也(¥1,000,000-)を貸し付け、乙はこれを受領した」のように、金額と「実際に渡した(渡す)」事実を書きます。
改ざん防止のため「壱・弐・参・拾・百・萬」といった大字(だいじ)の使用が一般的です。
交付は銀行振込にしておくと、通帳の記録が客観的な証拠になります。

3. 利息

利息をつける場合は「年◯%」と明記します。
無利息なら「利息は付さない」と一言。
個人間の貸借は書かなければ無利息が原則なので、利息を取りたいなら必ず書いておきましょう。

4. 返済方法・返済期限

「令和◯年◯月◯日限り、全額を一括して返済する」または「令和◯年◯月から毎月末日限り金◯円ずつ分割して返済する」のように、期限と方法を具体的に。
振込先口座と「振込手数料は乙の負担とする」も添えておくと、毎回揉めません。

5. 遅延損害金

返済が遅れたときのペナルティです。
「期限後は完済まで年◯%の遅延損害金を支払う」と定めます。
上限は後述します。

6. 期限の利益喪失条項

分割返済の契約で特に重要な条項です。
「期限の利益」とは、借主が「期限までは返さなくてよい」という利益のこと。
この条項がないと、借主が分割金を何度滞納しても、貸主は「滞納した回の分」しか請求できません。
「分割金の支払いを2回以上怠ったときは、当然に期限の利益を失い、残額を直ちに一括で支払う」と入れておくことで、滞納時に残額全部を請求できるようになります。

7. 連帯保証(つける場合)

連帯保証人を立てる場合は、保証人も契約書に署名押印します。
注意点は次の章で詳しく説明します。

8. 作成日・署名押印

末尾に作成日を書き、甲・乙(保証人がいれば丙)がそれぞれ自筆で署名し、押印します。
同じものを2通作成し、双方が1通ずつ保管します。


利息と遅延損害金は何%まで?

利息は利息制限法で上限が決まっており、超えた部分は無効になります(2026年7月時点)。

元本 利息の上限(年) 遅延損害金の上限(年)
10万円未満 20% 29.2%
10万円以上100万円未満 18% 26.28%
100万円以上 15% 21.9%

遅延損害金は、利息の上限の1.46倍まで設定できます(利息制限法4条)。
たとえば100万円を貸すなら、利息は年15%まで、遅延損害金は年21.9%までです。
個人間では「利息は年2〜3%、遅延損害金は年14.6%」のように、上限よりずっと低く設定するケースが多く、それでまったく問題ありません。


連帯保証人をつけるときの注意(2020年民法改正)

連帯保証人は、借主が返さないときに借主とまったく同じ立場で全額の返済義務を負う人です。
2020年施行の民法改正で、個人の保証人を守るルールが強化されました(2026年7月時点)。

  • 極度額のない個人根保証は無効:継続的な取引をまとめて保証する「根保証」を個人に頼む場合、「極度額◯円」という責任の上限を書面で定めないと、保証契約自体が無効になります(民法465条の2)。
    1回きりの貸付の保証なら極度額は不要です。
  • 事業資金の保証は公正証書での意思確認が必要:事業のために借りるお金を、経営者本人以外の個人に保証してもらう場合、契約締結前1か月以内に、公証役場で保証人本人が「保証します」という意思を公正証書にしておかないと無効です(民法465条の6)。

「友人の事業資金を貸すから、配偶者に連帯保証してもらおう」といったケースはこのルールに触れる可能性があります。
事業性のある貸付で保証人を立てるなら、公証役場や専門家に確認してから進めましょう。


収入印紙はいくら必要?

金銭消費貸借契約書は印紙税法上の「第1号文書(消費貸借に関する契約書)」にあたり、貸付金額に応じた収入印紙が必要です(2026年7月時点)。

貸付金額 印紙代
1万円未満 不要(非課税)
1万円以上10万円以下 200円
10万円超50万円以下 400円
50万円超100万円以下 1,000円
100万円超500万円以下 2,000円
500万円超1,000万円以下 10,000円
1,000万円超5,000万円以下 20,000円
金額の記載のないもの 200円

注意したいのは、2通作成したら2通それぞれに印紙が必要という点です。
双方署名式の契約書ならではの出費なので、忘れずに見込んでおきましょう。
貼ったあとは印紙と書面にまたがるように押印して「消印」します。
貼り忘れても契約は有効ですが、税務署に指摘されると本来の印紙税額の3倍の過怠税がかかる可能性があります。


公正証書にする目安

契約書を公証役場で公正証書にし、「支払いを怠ったら直ちに強制執行に服する」という一文(執行認諾文言)を入れておくと、返済が滞ったときに裁判をせずに給与や預金の差押えを申し立てられるようになります。

すべての貸し借りで必要なわけではありませんが、次のような場合は検討する価値があります。

  • 貸付金額が大きい(目安として100万円を超えるような場合)
  • 返済が数年にわたる長期の分割払い
  • 相手の収入や資力に不安がある
  • 離婚時の財産の清算など、関係がこじれやすい事情がある

費用や手続きの流れは、私文書と公正証書の違いで詳しく解説しています。


よくある質問(FAQ)

Q. 契約書は必ず2通作らないといけない?

法律上の決まりはありませんが、双方が原本を持つのが基本です。
印紙代を節約したい場合、原本1通+コピー1通とする方法もありますが、コピーしか持たない側は証拠力が落ちます。
金額が大きいなら2通作成をおすすめします。

Q. 利息を書き忘れたらどうなる?

個人間の貸借では、定めがなければ無利息が原則です。
あとから「利息を払って」とは言いにくくなるので、利息を取るなら必ず契約書に明記しましょう。

Q. 電子契約なら収入印紙は不要と聞いたけれど?

紙の契約書を作成せず、電子データのみで契約を交わした場合、現在の実務では印紙税はかからないとされています(2026年7月時点)。
ただし個人間では、署名押印した紙の原本を残すほうが安心感があるのも事実。
状況にあわせて選びましょう。

Q. 期限の利益喪失条項は個人間でも必要?

分割返済にするなら入れておくべきです。
この条項がないと、滞納されても「その回の分」しか請求できず、残額の一括請求ができません。
一括返済の契約なら必須ではありません。

Q. 途中で返済条件を変えたいときは?

「変更契約書」や覚書を作り、双方が署名押印します。
口約束で済ませると「言った・言わない」の火種になるので、条件変更こそ書面に残しましょう。

Q. 書き方に不安があるときは?

金額が大きい、担保や保証が絡む、事業性がある、離婚・相続に関係する――こうした場合は司法書士や弁護士への相談をおすすめします。
法テラスでは無料相談も受け付けています。


まとめ:条項の「型」を知れば個人間でも作れる

金銭消費貸借契約書は、条項の数こそ多いものの、ひとつひとつは「いくら・いつ・どうやって返すか」「返せなかったらどうするか」を言葉にしただけのもの。
型さえ知っていれば、個人間でも十分に作成できます。

  • 元本・利息・返済方法・返済期限を具体的に書く
  • 分割返済なら期限の利益喪失条項を忘れない
  • 利息は利息制限法の上限内、遅延損害金はその1.46倍まで
  • 収入印紙は2通なら2通分。
    消印も忘れずに
  • 高額・長期・不安があるなら公正証書化を検討

貸すほうも借りるほうも、書面があるからこそ安心してお金を動かせます。
「信頼しているからこそ、条件を書き残しておく」――その一枚が、お互いの関係を守ってくれます。


記事の参考にした情報源

この記事は、以下の公式情報源を確認して執筆しています(2026年7月時点)。
制度・税制は改正されることがあるので、実際に書類を作る前に、 下記のリンク先で最新情報をご確認ください。


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