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NDA(秘密保持契約書)の書き方|フリーランス・個人事業主でもわかる無料テンプレート

「業務委託の話が進んできて、まずは NDA を交わしたいと言われた」「副業で受けたデザインの案件で、社内資料を見せてもらう前に一枚書いておきたい」――フリーランスや副業で仕事をしていると、契約の入り口でこうした場面によく出会います。

一方で、NDA というと「大企業どうしが交わす分厚い契約書」というイメージがあり、個人事業主の自分が作っていいのかと戸惑う方も多いはずです。この記事では、法律や契約書に慣れていない方に向けて、NDA の役割・書くべき項目・契約期間の相場・印紙税の扱いまでを、順を追ってやさしく解説します。読み終わるころには、相手が個人でも法人でも、シンプルな一枚が作れるようになっているはずです。


NDA とは?「秘密保持契約書」と「秘密保持の確認書」の違い

NDA(Non-Disclosure Agreement)とは、業務のなかで知り得た相手の情報を、外に漏らさない・目的外に使わないと約束するための書面です。日本語では「秘密保持契約書」「機密保持契約書」「守秘義務契約書」などと呼ばれます。

似た書面に「秘密保持の確認書」や「誓約書」があります。契約書は原則として双方が署名するのに対し、確認書・誓約書は情報を受け取る側が一方的にサインして相手に差し入れる形が一般的です。

種類 署名 よく使う場面
秘密保持契約書(NDA) 双方 相互に情報を出し合う業務委託・共同開発
秘密保持の確認書・誓約書 情報を受け取る側のみ 発注前の情報開示、単発の打ち合わせ、フリーランスへの一時的な資料共有

フリーランスや個人事業主の案件受注の入り口では、まずは「確認書」スタイルの軽い一枚で十分なケースも多いです。相手が個人・小規模事業者どうしで大がかりな契約書に手が回らない、といった場面でも、この確認書スタイルなら気軽に交わせます。


なぜ NDA を交わすのか

「そこまで大した情報ではないから」と NDA を省くと、後から次のような困りごとが起きます。

  • 相手が受け取った資料や試作品を、別の取引先に流用してしまう
  • 打ち合わせで話した企画のアイデアを、そのまま別案件で使われる
  • 顧客リストや価格表がうっかり SNS で言及されてしまう

これらは口約束だけでは止められません。書面にしておくと「秘密として扱ってください」という意思表示が明確になり、いざというときに損害賠償や差し止めを請求する根拠にもなります。

さらに、経済産業省「営業秘密管理指針」でも示されているとおり、不正競争防止法で守られる「営業秘密」に該当するためには、その情報が秘密として管理されている状態であることが求められます(2026年7月時点)。NDA を交わし、資料に「社外秘」と明記して渡す――こうした地道な運用の積み重ねが、いざというときの法的な守りにもつながります。


営業秘密の3要件(秘密管理性・有用性・非公知性)

不正競争防止法第2条第6項では、「営業秘密」を次の3つの要件をすべて満たす情報と定義しています。NDA を作るときも、この3要件を意識しておくと「何を秘密として扱うか」がぶれません。

1. 秘密管理性

その情報を秘密として管理していること。具体的には、資料に「Confidential」「社外秘」と明記する、アクセスできる人を限定する、パスワードをかける、といった管理措置が求められます。会社(または個人事業主)が「これは秘密扱いです」という意思を、受け手が客観的に分かる形で示していることがポイントです。

2. 有用性

その情報が事業活動に役立つ客観的な価値をもっていること。設計図・製造ノウハウ・顧客リスト・仕入原価などが典型例です。違法・反社会的な情報(脱税の手口など)は、有用性の対象になりません。

3. 非公知性

その情報が一般に知られていない状態にあること。すでに業界誌やインターネットで公開されているものは対象外です。

NDA で「秘密情報」を定義するときは、この3要件に沿った情報が漏れなく含まれるように書くと安心です。


NDA に必ず入れたい7つの項目

NDA に決まった様式はありませんが、次の7項目を押さえておくと実務では十分なことが多いです。

1. タイトルと当事者

冒頭に「秘密保持契約書」または「秘密保持の確認書」と書き、当事者の氏名(法人名)と住所を明記します。個人事業主なら屋号ではなく、契約上は本名(+屋号)を書いておくと安心です。

2. 目的

何のために情報を開示するのかを一文で書きます。「本件業務(〇〇のウェブサイト制作)に関する検討および実施の目的」といった具合です。この目的の範囲外で情報を使うことを禁じる、という後段の条項の土台になります。

3. 秘密情報の定義

何を「秘密情報」と呼ぶかを決めます。一般的には次のように書きます。

  • 文書・電子データ・口頭など、開示の方法を問わない
  • 開示時に「秘密」と明示されたものに限る(口頭の場合は事後に書面で特定する、と補うこともあります)
  • 開示時点ですでに公知の情報、独自に開発した情報、第三者から適法に取得した情報は除く

このような除外事項を書いておかないと、実は世の中で公開されている情報まで守秘義務の対象になってしまい、受け手が萎縮してしまいます。

4. 秘密保持義務と目的外使用の禁止

「秘密情報を第三者に開示・漏えいしない」「本件業務の目的の範囲でのみ使用する」ことを約束する条項です。あわせて、社内で共有する場合は「業務上必要な役員・従業員に限る」と限定しておきます。

5. 複製・返還・廃棄

契約が終了したとき、または相手から求められたときに、渡した資料をどう扱うかを決めます。「返還または破棄し、破棄の場合は破棄した旨を書面で通知する」と書くのが一般的です。

6. 契約期間・存続条項

契約の有効期間と、契約終了後も秘密保持義務が残る期間(存続条項)を分けて書きます。詳しくは次の章で扱います。

7. 損害賠償・準拠法・管轄

違反があった場合の損害賠償、準拠法(日本法)、紛争が起きたときの裁判所(管轄)を書きます。フリーランスの場合、居住地の地方裁判所を「専属的合意管轄」と定めておくと、遠方の裁判所に呼び出されるリスクを下げられます。


契約期間と存続条項の実務相場

NDA で見落としがちなのが、「契約期間」と「秘密保持義務の存続期間」の関係です。

たとえば「本契約の有効期間は1年」とだけ書いてしまうと、1年経った瞬間に秘密保持義務まで消えるように読めてしまいます。実務では、次のように2段構えで書くのが一般的です。

  • 本契約の有効期間は締結日から1年間とする
  • 本契約が終了した後も、秘密保持義務は◯年間存続する

存続期間の相場は情報の性質によりますが、一般的な業務委託なら契約終了後3年〜5年が目安です。技術ノウハウや顧客情報など、時間が経っても価値が落ちにくい情報は5年〜10年と長めに設定することもあります。反対に、期限を切らず「永久に」とすると相手が敬遠するので、業務の実態に見合った合理的な年数にしておくのが無難です。


印紙税は必要?NDA は原則不要

「契約書といえば収入印紙」というイメージがありますが、NDA は原則として印紙税の対象外です(2026年7月時点)。国税庁が定める印紙税の課税文書(別表第一)に該当しないためです。

ただし、次のようなケースでは注意が必要です。

  • 業務委託契約と一体になっている場合:秘密保持だけでなく、業務内容・報酬・納期などを一緒に書き込むと、「請負に関する契約書」など課税文書に該当する可能性があります
  • 継続的取引の基本契約書の性格を帯びる場合:取引の基本条件を定めていると、印紙税法上の第7号文書(4,000円)に該当することがあります(2026年7月時点)

判断に迷うときは、契約書を持って所轄の税務署に相談すると確実です。なお、電子契約(PDF に電子署名するなど、紙で交付しないもの)は印紙税の対象外です。フリーランスと発注元の間で交わすなら、電子契約サービスやメール添付での運用が手軽でおすすめです。


【実例】ウェブサイト制作を受注する前に交わすケース

たとえば、フリーランスのウェブデザイナーが法人クライアントからウェブサイト制作の相談を受け、要件定義に入る前に社内資料や顧客情報を共有してもらう場面を考えてみます。

このとき交わす NDA には、次のようなポイントを盛り込みます。

  • 目的:「クライアントのコーポレートサイトのリニューアルに関する検討および実施」
  • 秘密情報の範囲:デザインカンプ、社内組織図、顧客リスト、価格表、ブランドガイドライン、未公開の商品情報
  • 契約期間:制作業務が完了した日から1年間。契約終了後3年間は秘密保持義務が存続
  • 返還・廃棄:業務終了時に受領資料を廃棄し、廃棄した旨をメールで報告
  • 管轄:受注者の住所地を管轄する簡易裁判所または地方裁判所

「相手が大企業だと、こちらの雛形を出しても受け入れてもらえないのでは?」と心配になるかもしれません。実務では、まずどちらかがたたき台を出し、そこから条項を1〜2行ずつ調整していくのが普通です。先にたたき台を出したほうが、自分に不利な条項を減らしやすいという利点もあります。


よくある質問(FAQ)

Q. 相手が個人事業主・フリーランスでも NDA は交わせますか?

はい、交わせます。NDA は法人どうしに限らず、個人事業主・フリーランス・個人と法人など、どの組み合わせでも成立します。当事者欄には氏名と住所を書き、必要に応じて屋号を併記しておくと後々分かりやすくなります。

Q. メールでの合意だけでも有効ですか?

双方の合意が明確なら、メールのやり取りだけでも契約は成立します。ただし、後から「言った・言わない」でもめないよう、条項を整理した書面(PDF)でお互い保管しておくのが安心です。電子署名サービスを使えば印刷・郵送の手間もかかりません。

Q. 一方的にサインして差し入れる「誓約書」でも大丈夫?

情報を受け取る側から差し入れる形の「秘密保持の確認書」「秘密保持誓約書」でも、内容がしっかりしていれば実務上は有効に機能します。相手が大企業で「うちの雛形で」と言われる場面や、単発の打ち合わせで気軽に交わしたい場面ではむしろ現実的です。

Q. 契約期間はどれくらいが目安ですか?

一般的な業務委託であれば、契約有効期間は6か月〜1年、契約終了後の秘密保持義務の存続期間は3年〜5年程度が実務の相場です。技術情報や顧客情報など機微な情報を扱う場合は、5年〜10年と長めに設定することもあります。

Q. 秘密情報の範囲をどこまで書けばいい?

広く書きすぎると相手が受け入れづらく、狭く書きすぎると肝心の情報が抜けます。**「本件業務に関連して開示された、秘密である旨を明示して受領した一切の情報」**とし、公知情報・独自開発した情報などを除外事項として書くのが定番のバランスです。

Q. 違反されたらすぐに損害賠償を請求できますか?

NDA に損害賠償条項があっても、実際には「どの情報が」「どのように」漏れて「いくらの損害が出たか」を立証する必要があります。金額が大きい案件は、あらかじめ弁護士に相談しておくと安心です。

Q. 内容に不安が残る場合は?

金額が大きい案件、上場企業や海外企業との取引、個人情報を大量に扱う案件などは、弁護士や行政書士にレビューを頼むと安心です。各地の弁護士会や法テラスでは、初回無料の相談窓口も用意されています。


まとめ:NDA は「信頼のスタートライン」

NDA は、相手を疑うための書面ではなく、安心して情報を出し合うための約束事です。「信頼していないから書く」ではなく、「信頼できる関係を長く続けたいからこそ書いておく」――そう考えると、初めての一枚も気負わず用意できるはずです。

  • 目的・秘密情報の定義・目的外使用の禁止をきちんと書く
  • 契約期間と存続条項は分けて書く(存続期間の相場は3〜5年)
  • 秘密情報は「秘密である旨を明示」して開示する運用にする
  • NDA 単体なら原則として印紙税は不要
  • 業務委託契約と一体化させると印紙税が発生することがある

このあたりを押さえておけば、フリーランス・副業でも安心して案件の入り口に立てます。まずは軽い一枚から始めて、案件ごとに条項をブラッシュアップしていきましょう。


記事の参考にした情報源

この記事は、以下の公式情報源を確認して執筆しています(2026年7月時点)。 制度・税制は改正されることがあるので、実際に書類を作る前に、 下記のリンク先で最新情報をご確認ください。


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完成した書面はあくまで「たたき台」です。実際に交わす前に内容を確認し、金額が大きい案件や機微な情報を扱う場合は、専門家に一度目を通してもらうとより安心です。

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まずは1枚、作ってみることから始めてみましょう。