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納品書の書き方|フリーランス・個人事業主のためのやさしい入門

「Webサイトを納品したので、あとは請求書だけ送ればいいかな…」「イラストのデータを渡したけれど、納品書って必要なんだっけ?」――フリーランスや個人事業主として仕事を受けていると、成果物を渡すタイミングでふと迷うことがあります。

納品書は、あなたが「たしかにこの内容を納めました」と示すための一枚です。取引先の経理担当者にとっても、社内で「何を受け取ったのか」を確認する大切な手がかりになります。この記事では、はじめて納品書を作るフリーランスの方に向けて、書くべき項目、請求書との違い、インボイス制度や電子帳簿保存法との付き合い方までを、やさしく順に解説します。


納品書とは?請求書・受領書との役割の違い

納品書とは、商品やサービスを納品する側(受注者)が、受け取る側(発注者)に対して「この内容で確かに納めました」と伝えるための書類です。多くの場合、成果物と一緒に、あるいは成果物の引き渡しと同じタイミングで送ります。

似た書類に「請求書」と「受領書」があります。それぞれ発行する人と目的が異なるので、まずはそこを整理しておきましょう。

書類 発行する人 相手 目的
納品書 受注者(納品する側) 発注者 何をいつ納めたかを伝える
請求書 受注者(納品する側) 発注者 代金の支払いを求める
受領書 発注者(受け取った側) 受注者 確かに受け取ったと返信する

同じ取引でも、書類ごとに立場と役割が違うのがポイントです。納品書と請求書は「受注者→発注者」の流れ、受領書は「発注者→受注者」の逆向きの流れになります。

なお、Webサイト制作やライティングなど、実物のない成果物のやり取りでも納品書は使えます。「納めた」という事実そのものを残す書類なので、形のあるなしにかかわらず活躍します。


納品書に必ず入れたい8つの項目

納品書に法律で決まった様式はありませんが、次の8項目を押さえておけば、取引先の経理担当者にとっても分かりやすい一枚になります。

1. タイトル

「納品書」と冒頭に大きく書きます。ひと目で何の書類か伝わるようにするためです。

2. 発行日

納品書を作成した日付を書きます。実際に成果物を渡した日、あるいは納品したデータを送った日にそろえるのが自然です。

3. 発行者(自分)の情報

氏名または屋号、住所、連絡先を書きます。フリーランスの場合、屋号があれば屋号を、なければ個人名で問題ありません。押印は必須ではありませんが、社印や個人の認印を押しておくと、取引先の経理処理がスムーズになることが多いです。

4. 宛先(取引先)の情報

会社名は正式名称で。担当部署が分かれば「経理部 御中」「◯◯様」まで書き添えると、社内でスムーズに回してもらえます。

5. 納品番号(管理番号)

「NO-2026-001」のような通し番号をつけておくと、後から自分の記録を検索するときに便利です。取引先が求める場合もあるので、最初から番号を振っておくと安心です。

6. 納品内容

「何を、いくつ、いくらで納めたか」を明細で書きます。表形式で、品目・数量・単価・金額を並べるのが一般的です。デザインやライティングなど成果物が単一の場合も、「◯◯サイト トップページデザイン一式」のように、後から見て何の仕事だったかが分かるように書きましょう。

7. 合計金額

明細の下に、小計・消費税・合計を並べて記載します。インボイス制度に対応する場合は、税率ごとに区分して書く必要があります(後述)。

8. 備考(あれば)

納品場所、納期の変更経緯、次回の予定など、伝えておきたいことを書き添える欄です。「請求書は別途、月末締めでお送りします」といった一文を入れておくと、取引先も動きやすくなります。


請求書とセットで発行するとき、金額はどう書く?

フリーランスの実務では、納品書と請求書を別々に発行するケースがよくあります。「まず納品書を送り、月末にまとめて請求書を発行する」という流れです。

このとき、納品書にはその1件分の金額、請求書には期間中に納めた分の合計金額を書きます。両方に同じ金額を書いてしまうと、取引先が「二重に請求されている?」と混乱することがあるので注意しましょう。

書き分けの例:

  • 納品書:11月10日納品「ロゴデザイン一式 88,000円(税込)」
  • 納品書:11月25日納品「名刺デザイン 44,000円(税込)」
  • 請求書:11月末締め「11月分ご請求 132,000円(税込)」

このように、納品書は1件ごと、請求書は締め日ごとに発行するイメージで整理すると分かりやすくなります。


インボイス制度と納品書|「組み合わせ」で対応する方法

2023年10月に始まった**インボイス制度(適格請求書等保存方式)**では、取引先が消費税の仕入税額控除を受けるために、決まった項目が記載された書類(適格請求書=インボイス)が必要になりました(2026年7月時点)。

ここで大事なポイントがひとつ。国税庁の説明によると、インボイスは「請求書」という名前の書類でなくてもかまいません。納品書や領収書でも、必要な項目が書かれていればインボイスとして扱えます。さらに、1つの書類だけで完結させなくても、納品書と請求書を組み合わせて全体で必要事項を満たしていればOKとされています。

適格請求書に必要な項目は、次の6つです(国税庁)。

  1. 発行者の氏名または名称、および登録番号(Tから始まる13桁)
  2. 取引年月日
  3. 取引内容(軽減税率対象品目である場合はその旨)
  4. 税率ごとに区分した対価の合計額(税抜または税込)
  5. 税率ごとの消費税額等
  6. 相手方の氏名または名称

実務でよくあるのは、納品書に「取引年月日」と「取引内容」を細かく書き、請求書に「税率ごとの合計」と「登録番号」を書くという分担です。両方をあわせれば必要事項を満たすので、経理処理としてはこれで問題ありません。

ただし、注意点がひとつ。組み合わせで対応する場合は、納品書と請求書が「どの取引に対応するのか」を明確に紐づけておくことが大切です。納品書番号を請求書に書き添える、請求書に「対応する納品書:NO-2026-011、NO-2026-012」と明記する、といった工夫で、取引先の経理担当者が困らないように配慮しましょう。

インボイス発行事業者として登録している方は、登録番号を納品書に載せておくと、そのまま納品書だけでもインボイスとして機能します。取引先の経理をラクにする意味でも、載せておくのがおすすめです。


電子帳簿保存法|メールやPDFで送った納品書はどう保存する?

もうひとつ、フリーランスに関わる大きなルールが電子帳簿保存法です。2024年1月から、電子取引でやり取りした書類は、電子データのまま保存することが原則すべての事業者に義務づけられました(2026年7月時点)。

具体的には、次のようなケースが「電子取引」にあたります。

  • メールにPDFで納品書を添付して送った・受け取った
  • クラウド請求書サービス(freee、マネーフォワード、Misocaなど)で発行した
  • チャットツールでPDFを送受信した
  • Web上のダウンロードリンクから納品書を受け取った

これらは「紙に印刷して保管」ではなく、電子データのまま一定のルールで保管する必要があります。ルールは大きく分けて2つです。

1. 「真実性」を保つ

改ざんを防ぐ仕組みを用意します。具体的には、事務処理規程を定めて運用する、タイムスタンプを付す、訂正削除の履歴が残るシステムを使う、といった方法があります。フリーランスの場合、「訂正・削除の事務処理規程」を作って、それに沿って運用する方法が現実的です。国税庁のサイトにサンプルが公開されています。

2. 「検索性」を保つ

「取引年月日」「取引先」「取引金額」の3項目で検索できる状態にしておきます。ファイル名を「20261110_◯◯商事_88000.pdf」のような形式に統一しておくだけでも、この要件を満たせます。

なお、前々年(2期前)の課税売上高が5,000万円以下など一定の条件を満たす小規模事業者については、検索要件が緩和されるルールもあります。詳しくは国税庁の特設サイトで確認しましょう。

紙で発行して郵送した納品書は、これまでどおり紙のまま保管してもOKです。電子で送ったものは電子のまま、というのが原則になった、と覚えておくとよいでしょう。


納品書に印紙税はかかる?

「契約書には収入印紙を貼るけれど、納品書はどうなんだろう?」と気になる方も多いですが、納品書には原則として印紙税はかかりません

印紙税がかかる文書(課税文書)は、印紙税法で20種類ほど定められています。納品書は、単に「品物やサービスを納めた事実」を示す書類なので、そのどれにも当てはまらないのが一般的です。

ただし、納品書に「代金を受け取った」と書くと話が変わります。金銭の受領を示す文言が入ると、第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)と判断される可能性があり、5万円以上の受取金額なら200円の収入印紙が必要になります(2026年7月時点)。

「納品書兼領収書」といったタイトルで一枚にまとめる場合は、この点に注意しましょう。混乱を避けたい場合は、納品書と領収書を別々の書類に分けておくのが無難です。


よくある質問(FAQ)

Q. 納品書は必ず発行しないといけない?

法律上、納品書の発行は義務ではありません。ただし、取引先の社内ルールで「納品書がないと検収が下りない」というケースは多く、実務ではほぼセットで発行されています。トラブル防止と信頼関係のためにも、基本的には出すのがおすすめです。

Q. 手書きとパソコン作成、どちらがいい?

どちらでも問題ありません。実務ではExcelやWord、あるいはクラウド請求書サービスで作成し、PDFにしてメール送付する形が一般的です。手書きの温かみを大切にしたい場合は、複写式の納品書用紙を使う方法もあります。

Q. 印鑑(社判)は必須?

法的には必須ではありません。押印がなくても納品書としての効力は同じです。ただし、取引先が「印鑑がないと受け付けられない」というルールで動いていることもあるので、事前に確認しておくと安心です。

Q. 消費税の内訳はどう書く?

インボイス制度に対応する場合、税率ごと(10%、軽減税率8%)に区分して合計額と消費税額を書きます。フリーランスの受託業務は基本的に10%のみが多いので、「小計 80,000円/消費税10% 8,000円/合計 88,000円」のようにシンプルに書けば大丈夫です。

Q. 発行した納品書は何年間保存すればいい?

青色申告をしている個人事業主の場合、原則として7年間の保存が必要です。電子取引でやり取りしたものは、電子データのまま7年間保管しましょう。

Q. 納品書を紛失・再発行してほしいと言われたら?

「再発行」と分かるように、余白に「再発行」と明記して発行するのが一般的です。番号や日付は、当初のものを踏襲するか、新しく発行し直すかを取引先と相談して決めましょう。


まとめ:納品書は「信頼を積み重ねる小さな一枚」

納品書は、単なる形式的な書類ではなく、「たしかにこの仕事をやり遂げました」というあなたからのメッセージでもあります。取引先の経理担当者にとっては、あなたの仕事の丁寧さがそのまま伝わる一枚です。

  • 発行者・宛先・納品内容・金額の基本8項目を漏れなく書く
  • 請求書とセットで出すときは、金額の書き分けに注意
  • インボイス対応は「納品書+請求書」の組み合わせでもOK
  • 電子で送った納品書は電子のまま保存(2024年1月から義務化)
  • 「代金を受け取った」と書かない限り印紙税は不要

このあたりを押さえておけば、はじめての納品書でも自信を持って発行できるはずです。


記事の参考にした情報源

この記事は、以下の公式情報源を確認して執筆しています(2026年7月時点)。 制度・税制は改正されることがあるので、実際に書類を作る前に、 下記のリンク先で最新情報をご確認ください。


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