領収書と受領書の違い|金銭・物品・書類、どれを受け取ったかで書類は変わる
「お客様から代金を受け取ったから領収書を出そう」――ここまでは迷いません。では、こちらが商品を配送し、先方が「たしかに受け取りました」とサインしてくれる書類は? あるいは、契約書の原本を郵送で受け取ったことを証明する書類は?
こうした場面で出てくるのが「受領書」です。どちらも「受け取ったことを証明する書面」で、名前もよく似ています。実際、実務でも取り違えたり、どちらでもいいと思って使っている方は少なくありません。
けれど、この2つには印紙税のかかり方、電子帳簿保存法での扱い、インボイス制度での位置づけといった、無視できない違いがあります。この記事では、非エンジニア・非経理の方でも迷わないように、順を追ってやさしく整理していきます。
結論を3行で
- お金や小切手・手形を受け取ったら「領収書」――印紙税の対象で、インボイス制度の適格簡易請求書にもなります。
- 物品や書類を受け取ったら「受領書」――原則として印紙税は非課税、社内の検収記録としても使われます。
- 迷ったら「受け取ったのは金銭かどうか」で判断――そこから残りのルールは全部つながります。
主な違いをひと目で
| 項目 | 領収書 | 受領書 |
|---|---|---|
| 受け取る対象 | 金銭・小切手・手形などの有価証券 | 物品・商品・書類・データなど金銭以外 |
| 発行するタイミング | 代金の支払いを受けたとき | 荷物や書類を受け取ったとき |
| 印紙税 | 5万円以上で課税(売上代金の場合) | 原則として非課税 |
| インボイス制度 | 適格簡易請求書として使える業種あり | 対象外 |
| 電子帳簿保存法 | 電子データで受け取ったら電子保存が必須 | 直接の規制対象ではないが実務上は保存 |
| 主な用途 | 代金の受領証明・経費精算 | 商品の検収・書類の授受確認 |
同じ「受け取りました」でも、税務・法務のルールがここまで違います。ひとつずつ見ていきましょう。
領収書とは?――お金を受け取ったことの証明
領収書は、代金や料金を受け取った側が支払った側に対して「たしかにこの金額を受け取りました」と発行する書面です。買い物の際にお店でもらうレシートや、業者に振込をしたときに送られてくる紙も、広い意味では領収書に含まれます。
領収書の主な役割
- 支払い済みの証明:同じ請求を二度されないための備え
- 経費計上の根拠:会社や事業主が経費として処理するための証憑
- 税務調査での証拠:帳簿と実際の取引が一致していることを示す資料
記載しておきたい項目
決まった様式はありませんが、次の項目を押さえておくと安心です。
- タイトル(「領収書」)
- 宛名(支払った側の氏名・会社名)
- 発行日(受け取った日)
- 金額(税込総額)
- 但し書き(何の代金か。「品代」より具体的に)
- 発行者の氏名・住所・押印
- インボイス制度に対応する場合は登録番号・税率・税額
インボイス制度での位置づけ
2023年10月から始まった適格請求書等保存方式(インボイス制度)では、小売業・飲食店業・タクシー業など不特定多数の相手と取引する業種は、宛名を省略した「適格簡易請求書」として領収書やレシートを発行できます(2026年7月時点)。
コンビニやスーパーのレシートに登録番号が印字されているのは、この簡易インボイスに対応しているためです。飲食店の領収書も、登録番号・適用税率・税額が入っていれば、経費精算する側は仕入税額控除の根拠として使えます。
受領書とは?――モノや書類を受け取ったことの証明
受領書は、物品・書類・データなど金銭以外のものを受け取った側が、渡した側に対して「たしかに受け取りました」と発行する書面です。
受領書が使われる場面
- 納品時の検収:発注した商品が納品書どおりに届いたことを確認
- 契約書原本の授受:郵送で送った契約書が相手に届いたことを記録
- 社内文書の引き継ぎ:機密書類や重要書類を担当者間で受け渡すとき
- 貸与品の返却:退職時に会社から借りていたPCや制服を返したとき
- 贈答品・寄贈品の受け取り:現物寄付を受けた側が発行
記載しておきたい項目
- タイトル(「受領書」または「物品受領書」)
- 宛名(渡した側)
- 受領日
- 受け取ったものの内容(品名・数量・書類名など)
- 受領者の氏名・所属・押印
金銭ではないので金額欄はなくても構いませんが、贈答品や貸与品の場合は「参考価格」や「型番」を書いておくと、後で紛失や破損があったときに揉めにくくなります。
印紙税は原則不要
物品や書類の受け取りは、印紙税法上の「金銭又は有価証券の受取書」(第17号文書)にあたりません。そのため受領書には収入印紙を貼る必要がないのが原則です(2026年7月時点)。ここが領収書との実務上いちばん分かりやすい違いです。
印紙税の違いをもう少しくわしく
領収書と受領書で扱いが分かれるいちばんの理由が、印紙税です。国税庁の案内(2026年7月時点)をもとに整理します。
領収書(売上代金に係る受取書)
| 記載金額 | 印紙代 |
|---|---|
| 5万円未満 | 非課税 |
| 5万円以上 100万円以下 | 200円 |
| 100万円超 200万円以下 | 400円 |
| 200万円超 300万円以下 | 600円 |
| 300万円超 500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 2,000円 |
以前は3万円以上から課税でしたが、2014年4月以降は5万円未満まで非課税に引き上げられています。金額が5万円を超える領収書には、額に応じて収入印紙を貼り、消印を押します。
「営業に関しない受取書」は非課税
会社や個人事業主ではない、たとえば給与所得者が個人的にお金を受け取ったときの領収書、公益法人が発行する受取書などは「営業に関しない受取書」として、金額にかかわらず非課税となります。フリマアプリで個人が売却したときの受取書などがイメージしやすい例です。
受領書は基本的にゼロ円
金銭の受け取りではないため、物品受領書・書類受領書には印紙税がかかりません。ただし、「受領書」というタイトルでも、実質的に金銭の受け取りを証明している内容なら課税対象と判断されることがあります。名前ではなく中身で判断されるということです。
電子帳簿保存法での扱い
2024年1月から、電子取引データの電子保存が完全義務化されました(2026年7月時点)。これは領収書と受領書で扱いに差が出るところです。
電子取引データの保存義務
メール添付されたPDFの領収書、ECサイトからダウンロードした領収書、クラウドサービスの利用明細など、電子データでやりとりした取引情報は、紙に印刷するだけでは不十分で、電子データのまま保存しなければならなくなりました。
保存には次の要件が必要です。
- 真実性の確保:タイムスタンプ、訂正削除履歴の残るシステム、または事務処理規程の整備
- 可視性の確保:ディスプレイ・プリンタで速やかに確認できること、検索できること
対象は国税関係書類(領収書・請求書・注文書など)が中心で、受領書は直接の対象ではないケースが多いです。ただし、社内ルールとして紙・電子を問わず一元管理している会社が増えており、実務上は受領書も同じ枠組みで保存しておくのが安全です。
こう選ぶ――迷ったときの判断チャート
- 金銭や小切手・手形を受け取った → 領収書
- 商品・製品・部品などの物品を受け取った → 受領書(納品書兼用の場合は「納品書兼受領書」)
- 契約書・書類の原本を受け取った → 受領書
- 社内で機密書類や貸与品を受け取った → 受領書
- 贈答品・寄付品を受け取った → 受領書
- クレジットカード決済で「代金は受け取っていない」が控えを渡したい → 「領収書(クレジットカードのため印紙税対象外)」の但し書きを添えると親切
- 迷ったら、渡している内容が「お金として使えるものか」を考える → はい:領収書/いいえ:受領書
よくある誤解
誤解1:受領書にも収入印紙が必要かと思っていた
物品や書類の受領書には原則として印紙税はかかりません。逆に、金銭の受け取りなのに「受領書」というタイトルにすれば印紙が不要になる、という抜け道もありません。タイトルではなく内容で判断されるというのが基本です。
誤解2:クレジットカード決済の領収書にも印紙が必要
クレジットカード払いは「その場で現金の受け渡しがない」ため、金額が5万円以上でも収入印紙は不要とされています。ただし、その旨を但し書きに書いておかないと、税務調査で説明を求められることがあります。「クレジットカード利用のため」と一言添えておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q. 「納品書兼受領書」とはどういう書類?
商品を届けた業者が、納品書と受領書を1枚にまとめて渡す形式です。受け取った側は、内容を確認したうえで署名または押印して1枚を業者に返します。物流や卸売の現場でよく使われる、実務的な省力化のしくみです。
Q. 受領書に印鑑は必要?
法的には署名だけでも成立しますが、実務上は認印を押すのが一般的です。会社間の書類なら社印、個人なら認印で十分です。実印は必要ありません。
Q. 領収書と受取書は同じもの?
はい、ほぼ同じ意味で使われます。印紙税法上の正式名称は「金銭又は有価証券の受取書」で、「領収書」「レシート」「受取証」なども中身が同じなら課税対象です。名称ではなく内容で判断されます。
Q. 手書きとパソコン作成、どちらがいい?
どちらでも法的効力は同じです。パソコンで作成して印刷し、受領者が自筆でサインする形が、読みやすさと証拠力のバランスがよくおすすめです。
Q. 電子データで受け取った領収書は印刷して保管でいい?
2024年1月以降、電子取引データは電子のまま保存することが義務になっています(2026年7月時点)。紙に印刷しただけでの保存は要件を満たさない扱いになるため、原則としてPDFなどのファイル形式のまま、検索できる状態で保管してください。
Q. 受領書をなくしたら再発行できる?
発行者に頼めば再発行してもらえるケースが多いですが、義務ではありません。重要な書類の受領書は、その場でスマホで撮影しておく、スキャンして電子データで残しておくといったバックアップが確実です。
記事の参考にした情報源
この記事は、以下の公式情報源を確認して執筆しています(2026年7月時点)。 制度・税制は改正されることがあるので、実際に書類を作る前に、 下記のリンク先で最新情報をご確認ください。
- [領収書の印紙税額] 国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書」
- [営業に関しない受取書の非課税] 国税庁「No.7141 営業に関しない受取書」
- [電子取引データ保存の完全義務化] 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」
- [適格簡易請求書と領収書] 国税庁「インボイス制度について」
- 実務の慣行・様式に関する部分は、複数の実務記事・専門家サイトを参照しつつ、当サービスで加筆修正しています。
話し言葉で書類を作ってみる
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完成した書面は、内容を確認したうえで、必要に応じて収入印紙を貼り、押印して保管してください。
話し言葉で領収書を作ってみる → /ryoshu 話し言葉で受領書を作ってみる → /juryo
まずは1枚、作ってみることから始めてみましょう。