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借用書の印鑑は認印・実印どっち?シャチハタがダメな理由と正しい押し方

借用書を書き終えて、最後の仕上げに押すハンコ。
ここで手が止まる方が実に多いです。
「認印でいいの?実印じゃないとダメ?」「シャチハタはなぜダメって言われるの?」「そもそもハンコがないと無効?」

結論を先にまとめると:

  • ハンコがなくても、署名があれば借用書は有効
  • ただし実務上は、押印があると証拠としての力が強くなる
  • 少額なら認印でも十分。
    高額・長期なら実印+印鑑証明書が安心
  • シャチハタは避けるのが無難(理由は後述)

この記事では、この結論の理由と、割印・訂正印などの実務的な押し方までを順に解説します。


そもそも、ハンコがないと借用書は無効?

無効ではありません。
契約は当事者の合意で成立するのが原則で、書面の形式は自由です(民法522条)。
署名だけの借用書でも、法律上は有効です。

では、なぜ実務では押印が重視されるのか。
それは裁判になったときの「証拠としての強さ」が変わるからです。
民事訴訟法には、本人の署名または押印がある文書は「真正に成立したものと推定する」というルールがあります(民事訴訟法228条4項)。
つまり、署名や押印がきちんとあるほど、「この借用書は本物だ」と認めてもらいやすくなるのです。

「ハンコは飾りではなく、証拠力の補強」――これが借用書と印鑑の関係です。


認印・銀行印・実印のちがい

種類 登録先 特徴
認印 登録なし 日常の書類に使う一般的なハンコ。100円ショップでも買える
銀行印 銀行に届出 口座取引専用。契約書に使うのは避けたい
実印 市区町村に登録 印鑑登録された唯一のハンコ。印鑑証明書とセットで本人の証明力が最強

実印の強みは、ハンコそのものではなく、「印鑑証明書とセットで使える」ことにあります。
市区町村が「この印影は本人が登録したものです」と証明してくれるため、「本人が押した」ことを後から争われにくくなります。


場面別:どのハンコを使うべき?

場面 おすすめ
少額(数万円程度)の貸し借り 認印でOK。署名を丁寧に
数十万円以上・返済が長期にわたる 実印+印鑑証明書を検討
連帯保証人を立てる 保証人は実印+印鑑証明書が通例
公正証書にする 公証役場で本人確認があるため、実印+印鑑証明書(または運転免許証等)が必要

迷ったら「金額が大きいほど、しっかりしたハンコと証明を」と覚えておけば十分です。


シャチハタが避けられる理由

シャチハタ(インク浸透式のゴム印)が契約書で避けられるのには、はっきりした理由があります。

  1. 印面がゴムで変形する — 押す力や経年で印影が変わり、同一性の確認がしにくい
  2. 大量生産で同じ印面が存在する — 同じ姓のシャチハタは全国に無数にあり、「本人のハンコ」という証明力が弱い
  3. インクが薄れやすい — 長期保管する借用書には不向き

「絶対に無効になる」わけではありませんが、せっかく作る借用書の証拠力を自分から弱くする必要はありません。
朱肉で押すタイプのハンコを使いましょう。


割印・契印・訂正印・捨印の使い方

割印 — 2通作るときに

借用書や金銭消費貸借契約書を2通作る場合、2通を少しずらして重ね、またがるように1つのハンコを押します。
「2通が同じ内容のセットである」ことの証明になり、片方だけの改ざんを防ぎます。

契印 — 2枚以上になったときに

書面が複数ページになる場合、ページの見開きにまたがるように押します。
ページの抜き取り・差し替えを防ぎます。

訂正印 — 書き間違えたときに

訂正箇所に二重線を引き、その近くに押印して「削除◯字・加入◯字」と書き添えます。
金額の訂正はトラブルのもとなので、金額を間違えたら書き直すのが鉄則です。

捨印 — 借用書では押さないのが無難

欄外にあらかじめ押しておき、後の軽微な訂正を委ねるのが捨印ですが、相手に訂正を白紙委任するのと同じです。
お金の貸し借りの書面では押さないことをおすすめします。


電子契約なら、そもそも印鑑はいらない

借用書をPDFで作って電子契約サービスで取り交わす方法もあります。
この場合、物理的なハンコは不要です。
電子データでの契約が法的に有効かどうかは、電子契約の有効性の記事で詳しく解説しています。


よくある質問(FAQ)

Q. 拇印(ぼいん)でもいい?

指紋を朱肉で押す拇印も、押印として扱われ得ます。
ただし鮮明に残りにくく、照合も難しいため、ハンコが用意できる場面ではハンコを使うほうが確実です。

Q. 外国人で印鑑を持っていない場合は?

署名だけでも借用書は有効です。
心配なら、サインの横に日付を自書してもらう、身分証のコピーを添えるなどの工夫で補強できます。

Q. 実印は借主・貸主どちらが押す?

借用書は借主が署名押印して貸主に渡す書面なので、押すのは借主です。
双方が押す形にしたい場合は、金銭消費貸借契約書の形式にして2通作りましょう。

Q. 印鑑証明書は何通・いつのものが必要?

決まりはありませんが、押印した日に近い日付のものを1通添えるのが一般的です。
印鑑証明書は市区町村の窓口やコンビニ交付で取得できます。


まとめ:金額に合わせて「ちょうどいいハンコ」を

  • ハンコがなくても借用書は有効。
    ただし押印は証拠力の補強になる
  • 少額なら認印、高額・長期・保証人ありなら実印+印鑑証明書
  • シャチハタは変形・大量生産の理由で契約書には不向き
  • 2通作るなら割印、複数ページなら契印。
    捨印は押さない
  • 電子契約なら印鑑不要という選択肢もある

ハンコは「格式」のためではなく、将来の「もめない」ための道具。
金額に見合った押し方をすれば十分です。


記事の参考にした情報源

この記事は、以下の公式情報源を確認して執筆しています(2026年8月時点)。


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押すハンコが決まったら、あとは本文です。
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