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親子・家族間のお金の貸し借り|借用書は必要?贈与税とみなされない書き方
「子どもの住宅資金を少し助けてあげたい」「兄弟に事業の運転資金を貸してほしいと頼まれた」――家族の間でお金が動く場面は、意外と多いものです。
そして、ほぼ必ずセットで出てくるのがこの疑問。
「家族なのに、借用書なんて作るの?」
結論から言うと、家族間こそ借用書を作っておくべきです。
理由は「信用していないから」ではありません。
書面がないと、税務上「贈与」とみなされて贈与税がかかることがあり、さらに相続の場面で他の家族とトラブルになりやすいからです。
この記事では、国税庁の公式見解をもとに、家族間の貸し借りが贈与とみなされるパターン、そうならないための借用書の書き方、無利子にするときの注意点までをやさしく解説します。
家族間でも借用書を作るべき3つの理由
1. 「贈与」とみなされて贈与税がかかるのを防ぐ
税務上、家族間のお金の移動は「貸したのか、あげたのか」が常に問われます。
書面も返済の実績もないと、「実質的にはあげたもの(贈与)」と判断され、贈与税の対象になることがあります。
2. 相続のときのトラブルを防ぐ
貸した親が亡くなると、「貸したお金」は相続財産として扱われます。
借用書がないと、他の相続人から「あれは生前贈与だったのでは」「返してもらっていないはず」と疑問が出て、家族の間で気まずい争いになりがちです。
3. お互いの記憶違いを防ぐ
「いくら借りたか」「いつまでに返すか」は、時間が経つほど記憶が食い違います。
仲が良い家族だからこそ、条件を紙にしておくことが関係を守ります。
国税庁の見解:「ある時払いの催促なし」は贈与になる
国税庁は、親から金銭を借りた場合の扱いについて、公式にこう整理しています(タックスアンサー No.4420)。
- 親子間でも、返済能力や返済状況からみて本当の金銭の貸し借りと認められれば、借入金は贈与にはならない
- ただし、「ある時払いの催促なし」(お金があるときに返せばいい、催促もしない)や「出世払い」のような貸し借りは、借入金そのものが贈与として扱われる
- 無利子の場合は、利息に相当する利益の分が贈与として扱われることがある
つまりポイントは、「形だけでなく、実際に貸し借りとして成立しているか」。
借用書を作ることは、その第一歩です。
参考:年間110万円までは贈与税がかからない
贈与税には年間110万円の基礎控除があります(暦年課税)。
仮に贈与と扱われても、その年に受けた贈与の合計が110万円以下なら贈与税はかかりません。
少額の貸し借りで過度に心配する必要はありませんが、住宅資金のようなまとまった金額では、この控除だけではカバーできないため、書面と返済実績がより重要になります。
贈与とみなされないための借用書の書き方
家族間の借用書に特別な様式はありません。
通常の借用書と同じ項目を、あいまいにせず書くことが大切です。
| 項目 | 家族間ならではのポイント |
|---|---|
| 金額 | 「金1,000,000円」のように正確に。追加で貸すなら都度書面に |
| 借入日 | お金を渡した日を明記 |
| 返済方法 | 「毎月末日に3万円ずつ銀行振込」のように具体的に。「余裕があるときに」はNG |
| 返済期限 | 「令和10年8月まで」など完済時期を明記。年齢的に完済が非現実的な期間はNG |
| 利息 | 無利子でも「無利息とする」と明記(決めていないと後で食い違う) |
| 署名・押印 | 家族でも本人がそれぞれ署名する |
書面と同じくらい大事な「返済の実績」
税務上は、書面があること以上に実際に返済されていることが重視されます。
- 返済は銀行振込にして、記録が通帳に残るようにする(手渡しは証拠が残らない)
- 決めた返済計画のとおりに、実際に返し続ける
- 完済したら、完済証明書を作って締めくくる
「借用書はあるが1円も返済されていない」という状態は、書面があっても贈与と判断されやすくなります。
利息はどうする?無利子にするときの注意
家族間では無利子にすることが多いですが、前述のとおり、無利子で借りた場合は利息に相当する利益の分が贈与として扱われることがあります(国税庁 No.4420)。
- 少額の貸し借りであれば、利息相当額もわずかなので、実務上大きな問題になることは多くありません
- 住宅資金など高額・長期の場合は、利息をどうするかも含めて、税理士や税務署に事前に相談しておくと安心です
- 利息をつける場合の上限や書き方は、個人間の貸し借りの利息の記事で詳しく解説しています
よくある質問(FAQ)
Q. 兄弟間・祖父母と孫の間でも同じ?
同じ考え方です。
No.4420 は「親から」の例ですが、贈与税は贈与を受けたすべての個人にかかるため、兄弟間・祖父母と孫の間でも「実質が貸し借りかどうか」で判断されます。
Q. いくらから借用書を作るべき?
金額の決まりはありませんが、贈与税の基礎控除(年110万円)を超える金額なら必ず作っておきたいところです。
それ以下でも、返済が長期にわたるなら作っておくのがおすすめです。
Q. 手書きでもいい?
手書きでもパソコン作成でも有効です。
大事なのは、金額・日付・返済条件が明確で、本人の署名があることです。
Q. 収入印紙は必要?
借用書は印紙税法上の「消費貸借に関する契約書」(第1号文書)にあたり、家族間でも借入金額1万円以上なら収入印紙が必要です。
金額別の印紙税額は収入印紙の記事をご覧ください。
Q. より正式な形にしたいときは?
貸主・借主の双方が署名押印して1通ずつ保管する金銭消費貸借契約書の形にすると、より確実です。
高額な貸し借りでは、実印+印鑑証明書を添える方法もあります。
まとめ:家族だからこそ「紙」に残す
- 家族間の貸し借りも、書面と返済実績がないと贈与とみなされることがある
- 「ある時払いの催促なし」「出世払い」は借入金そのものが贈与扱いになる(国税庁の公式見解)
- 借用書には返済方法・期限を具体的に書き、返済は銀行振込で記録を残す
- 無利子の場合、利息相当分が贈与とされることがある。
高額なら事前に税理士・税務署へ相談 - 完済したら完済証明書で締めくくる
「家族なのに水くさい」ではなく、「家族だからこそきちんと」。
1枚の借用書が、税金の心配と将来の相続トラブルの両方からご家族を守ってくれます。
記事の参考にした情報源
この記事は、以下の公式情報源を確認して執筆しています(2026年8月時点)。
税制は改正されることがあるので、実際に書類を作る前に、下記のリンク先で最新情報をご確認ください。
- 親からの借入が贈与とされる場合:国税庁 タックスアンサー No.4420「親から金銭を借りた場合等」
- 贈与税の基礎控除(年110万円):国税庁 タックスアンサー No.4408「贈与税の計算と税率(暦年課税)」
- 金銭消費貸借の基本ルール:e-Gov 法令検索「民法」(第587条)
話し言葉で家族間の借用書を作ってみる
とはいえ、いざ書こうとすると「どう書き出せばいいかわからない」と手が止まりがち。
そんなときは、話し言葉で入力するだけでたたき台ができる無料ツール「書類メーカー」を使ってみてください。
「息子に住宅資金として300万円を貸す。毎月3万円ずつ銀行振込で返してもらう。無利息」――こんなふうに普段のことばで入力するだけで、AI(Claude Opus)が項目を読み取り、あらかじめ用意されたひな形に流し込んで借用書のたたき台にします。
無料・登録不要でお使いいただけます。
完成した書面は、内容を確認したうえで、ご家族それぞれが署名・押印して保管してください。
住宅資金など高額な場合は、税理士や税務署に一度相談してから進めるとより安心です。
まずは1枚、作ってみることから始めてみましょう。